The Project CaLS

電子文字化プロジェクト

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The Project CaLSは、このプロジェクトで電子文字化運動を推進しています。
まずは、電子文字化運動とは何かを知っていただくために、ちょっと読んでみて下さい。


1.電子文字って?

 みなさんは、電子文字って何かご存じですか?
 電子文字とは、一言で言うと、"ワープロ、コンピュータ等で電気的な信号に置き換えられた文字"のことです。これは、今まで私たちが使ってきた紙等に記載・印刷された状態の印刷文字とは根本的に違うものなのです。とは言っても、「いくらコンピュータ等に入力された文字を電子文字と呼んだとしても結局印刷されれば印刷文字なんだから、一体どこが両者は違うのか」と思われるかも知れません。でも、この二つには根本的な違いがあります。それは、「印刷文字は"静"であり、電子文字は"動"である」ことです。つまり、印刷文字は活字として印刷され固定されればその文字自体が変化することはありえません。しかし、電子文字は容易に変化することができますし、自在に存在形式を変えることができます。例えば、電子文字は印刷文字に簡単になれますが、印刷文字が電子文字になることは、今の技術ではとても困難であることです。また、電子文字は、如何なる形態の印刷文字になることも可能です。字体、大きさ、文字装飾など、どのようにでも変えることができます。また、電子文字はそのままデータベース等のデータになることができるのです。電子文字自体は、目に見えません。何らかの媒体により可視となるのです。つまり、自分の脳の中にある思考がさまざまな表現形態をとって具現化されると同じように、電子文字というものは、さまざまな形態をとって可視となり、われわれの思考の道具になるのです。

2.電子文字化

 電子文字化とは、電子文字を作ることです。それは狭義には、我々が日常使用する文字等がパソコン、ワープロ等電子の画面上に表記され、これが電子文字となり、これらが電磁化された記憶媒体により文字情報のやりとりがなされることのみを指します。一方、広義に捉えれば、まず電子文字化は、電子文字文化圏への唯一の入口であり、電子文字化という言葉は、ただ単に文字がワープロ等で打たれフロッピーディスクなどの記憶媒体の中に収まっている状態だけでなく、それらがパソコン通信、コンピュータ・ネットワークといった電子の情報媒体を通して、伝達され公にされることまで含むこととなります。このような状態が一般に普及した社会を、まさに"電子文字文化圏"と呼べるのではないでしょうか。

3.電子文字化がもたらすもの

 電子文字化するとどのようなことか起きるのか簡単に説明しましょう。
 まず、あらゆる出版物が電子文字化されると文書作成が非常に容易になります。たとえば、もう日常生活に欠かすことのできなくなったファックスで文書を送る場合を考えてみましょう。まず第一に相手に送る内容を紙に下書きする。そして第二にそれをワープロで清書しつつキーボード入力する。第三にそれをワープロで紙に印刷する。第四に印刷された紙をファックスで送る。受け取った側としては、そのファックスを保管し他の報告書に添付するため、第五の作業として、再度ワープロで入力する。さらに第六の作業として、後日それを印刷する。これらの作業が如何に無駄の多いことかおわかりいただけると思います。第一の作業の時点で、いきなりワープロ等で電子文字化してしまい、フロッピーの手渡しかパソコン通信で、それを第六の作業にもってくれば、第三、第五の作業は省けることは明らかです。要するに、一度ワープロ等に入力した文字を、再度入力することはまったくもって無駄な作業と言うことです。
 次に、今ここで、憲法についてのレポートを書く場合を想定しましょう。文章を書くためにいろいろな情報が集められますよね。例えば、新聞記事からのスクラップとか論文とかですね。それらを利用して文書を作るとき何をしますか? 新聞記事を図書館でコピーしてそれをワープロで入力し直しますか? 雑誌に掲載された論文をコピーしてきてそれの必要な個所を打ち込みますか? 憲法の25条には何と規定されているかを示すために、条文を六法で見ながら文字入力しますか?  実は、こうした作業はまったく無駄な作業で、馬鹿げていることがご理解いただけると思います。こうした情報すべてが電子文字化されていれば、インターネット等から必要な個所だけをカット&ペーストすることで、簡単にできてしまうことなのです。これにより、文章を作るという知的作業が大幅に効率化されることが理解していただけると思います。


4.電子文字化と著作権問題

 今、インターネット上での著作権の問題はいろいろな議論がなされています。
 一つ忘れてはならないのは、今の著作権法制度がこれからの電子文字文化圏に対応しえないものであることです。著作権法は各国によってその発想が異なるため、いろいろな現象を呈しているのも一因でしょうし、各国で多くの法学者らが対応を協議しているのが現状ですが、抜本的な解決策が見出せないのも現実です。
 やがて、もっと大きな流れの中で著作権法制度を考えないといけない時代がくると思います。印刷物として現れたものに対して著作権法による保護を与え、その複製、無断転載を禁ずるのは、創造的活動を保護するという人類の知的創造活動の面から保護されているものなのでしょうが、電子文字文化圏ではあまり意味のないものでしょう。電子文字文化圏では多くの著者が日常多くの電子文字を生み出します。中には殆ど意味のないものも含まれます。これらすべてが著作権法の保護対象として考えるべきでしょうか? 電子文字文化圏での著作権とはもっと制約のゆるやかなものでないと、まったく自由な著作創造活動ができなくなります。印刷されて不動のものとなった著作物を保護することは、印刷文字文化圏では意味がありました。たしかにそこまで投資された経済的利益を保護する必要があったからです。でも電子文字文化圏では、印刷文字文化圏とは比較にならないほどの情報収集が可能です。ですから、いままでとはデータ一つ一つに対する扱いが異なるはずです。  そこで、われわれ自身が、電子文字文化圏におけるルールを作るのです。その時に、姑息な金欲的発想に囚われ、自らの著作物に著作権を主張し、何らかの対価を要求することは、意味のないことであり、次世代の文化のありかたにマイナスになることは明白ではないでしょうか。無論、善意で提供するものをかき集めて自己の利益を計る行為は許されざる行為であり、非難すべきでしょう。もっと寛大でゆるやかでさわやかな環境を作り出すことが大事なのではないでしょうか。著作権という発想は、そもそも印刷文化圏のなかで育まれてきたもので、電子文字文化圏では必要なくなるか、大きな転換期を迎えることになるのです。

4.電子文字化運動

 そこで電子文字化運動を提唱します。今必要なのは、1.将来にわたって著作活動を電子文字化することと、2.過去の文化遺産を電子文字化することです。この二つを同時並行的に行なう必要があります。  まず、自分が作り出した情報はすべて電子文字化しましょう。これはもちろんその発表の場と機会が与えられるまでは、電子文字として印刷文字と両方保存しておくのがよいでしょう。これから作られる情報のすべては、電子文字化していき、インターネットなどで積極的に無償で公開しましょう。これが、将来の人類の知的財産になるのです。  電子文字化は、将来に向けては可能ですよね。でも過去はどうでしょうか。これまでに書籍という形などで公開されてきた人類の知的資産を電子文字に変換する作業が不可欠です。これにはいろいろな問題があります。もう既に印刷文字として公表され著作権の保護対象となっている情報は、電子文字化できませんね。これに対しては、アメリカで行われているグーテンベルグ・プロジェクトのように著作権による保護期間からはずれたものを電子文字化して大きなデータベースを作り、電子文字化社会に貢献するというのも一つの方法です。こうした作業を地道に進めていくのが、この電子文字化運動なのです。


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